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Taylor Brooks

PCでは正常なのにTVでズレる字幕を直す方法

PCで問題なく読める字幕がスマートTVでズレる原因と解決法を解説。NAS配信向けのタイミング調整とMUX化のコツも紹介。

はじめに

自宅でメディアライブラリを構築したり、NASを設定したり、スマートTVに配信できるサーバーアプリを試したことがある人なら、一度は直面したことがあるであろう厄介な不具合があります。PCで再生すると字幕はぴたりと同期しているのに、テレビで見るとタイミングがズレたり、遅延したり、まったく表示されなくなってしまう――そんな「PCでは正常なのにTVではズレる字幕」の問題です。結局、動画に字幕を焼き付けるような面倒な対処をしたり、字幕視聴を諦めたりする人も少なくありません。

これはごく一部の環境で起こる問題ではなく、ストリーミング方式やメディアサーバー、テレビの再生エンジン全般に見られる互換性のギャップとして知られています(参考)。原因は、外部字幕ファイルやコンテナ形式、タイムコードの解釈などをデバイスごとに異なる仕組みで処理していることにあります。幸いにも、この問題は複雑な変換作業に頼らずに解決する方法があります。それが「音声から作り直す、字幕再生成ワークフロー」です。

問題の再現と記録

修正に取りかかる前に、まずは問題を確実に再現する必要があります。そのためには次の3つの環境で同じメディアを再生してみましょう。

  1. PCのメディアプレーヤー(VLCやMPC-HCなど)で、外部SRTファイルを同じフォルダに置き、動画ファイル名と一致させる。
  2. USBメモリ経由でTV再生。フォルダ構成・ファイル名は同じ条件とする。
  3. NASからTVへメディアサーバーアプリ経由でストリーミング(PlexやEmbyなど)。

ほとんどの場合、PCでは字幕が問題なく表示されるのに対し、テレビでは一部または両方の方法で失敗します。字幕ファイルが認識されない、または数秒〜数分単位でズレるといった症状です。

記録すべき項目は以下の通りです。

  • 動画ファイルと字幕ファイルのMediaInfoログ(フレームレートが固定か可変か、コーデック、タイムコードの基準など)
  • 字幕フォーマット(SRT、ASS、WebVTTなど)
  • ファイル名の付け方
  • 字幕が外部ファイルか、動画に埋め込みか

私の作業フローでは、編集前に必ずこのログを残します。これにより、可変フレームレート動画に固定フレームレート用字幕が付いているなど、テレビ再生で問題を起こす原因が明らかになります。

PCとテレビで字幕の扱いが異なる理由

原因は字幕ファイル自体の「壊れ」ではなく、テレビが外部字幕を解釈・表示する際の前提条件がPCとまったく違うことにあります。

デバイス側字幕エンジンの違い

PCのプレーヤー(VLCなど)は、音声・映像・字幕をバッファでまとめて処理し、多少のタイミングの誤差にも柔軟に対応します。しかしテレビの再生エンジンは動画ストリームのリアルタイムデコードを優先し、外部字幕は後付けで処理します。その実装はメーカーやファームウェアバージョンによっても異なります(参考)。

コンテナとコーデックの相性

メディアサーバーはテレビ向けにストリームをトランスコードすることがあり、その過程で字幕とのタイミング参照がズレます。動画側がフレームレート変換やタイムベース調整を受けても、字幕がそのままだと同期ズレが発生しやすく、特に可変フレームレート映像で顕著です。

配信方法の問題

タイミングが完璧でも、TVによっては特定の名前付け規則を守らないと外部SRTを関連付けできないケースがあります(参考)。そのため、動画に焼き付けた字幕は再生できても、ライブラリ内の疎な外部ファイルでは表示されないことがあるのです。

音声ベースで作り直す「字幕再生成」解決法

ズレた字幕ファイルを修正するより、動画の音声トラックから新たに字幕を生成したほうが確実です。この方法なら、元字幕のタイミングの欠陥や破損を根本から回避できます。

手順はシンプルです。元動画や音声素材を信頼できる文字起こしサービスにかけ、話者情報と正確なタイムスタンプ付きのテキスト化字幕を取得します。高精度文字起こしのようなツールを使えば、YouTubeリンクや動画ファイルなど複数の入力方法に対応し、ダウンロードや手動修正の手間なくきれいな字幕テキストを入手できます。

transcript ができたら:

  1. ツール内から直接SRT形式で書き出す。
  2. タイムスタンプは「hh:mm:ss,ミリ秒」のテレビ互換形式に整える。
  3. 動画ファイル名と完全一致させ、拡張子だけ変更する。

こうして音声に合わせた字幕をゼロから作ることで、元のファイルが持っていたエンコードの癖やタイムコードの不一致、フレームレート依存の問題を完全に除去できます。

テレビ向けにブロック再構成

タイムスタンプが整っていても、字幕のブロック構成によってはテレビ再生で不具合が出ます。1ブロックが長すぎたり、複数文をまとめすぎたりすると表示遅延の原因になります。

そのため、テレビ向けに短く区切ったブロック構成にする作業が重要です。1行あたりの文字数を抑え、表示負荷を減らすことで同期が安定します。

これを手作業でするのは大変ですが、柔軟なブロック分割のようなツールを使えば、自動でテレビ向け短行ブロックに再構成できます。タイムスタンプを維持したまま、表示環境に最適な形へ整えられます。

再構成後は:

  • UTF-8(BOMなし)で保存して互換性を高める。
  • ブロック表示時間を短めにして、字幕エンジンの負荷を減らす。

修正版のテスト

すべてのライブラリに適用する前に、問題が確認されているファイルでテストします。

  1. USB再生: 新しいSRTと動画をUSBメモリに入れ、テレビで再生して同期確認。
  2. メディアサーバー配信: NASから新しいSRT付きでTVへストリーミングし、ズレや消失をチェック。
  3. 他機種テスト: 別メーカー・別ファームウェアのテレビでも再生確認。

新しいSRTのMediaInfoログを取得し、実際の音声再生時間とタイムスタンプが一致しているか確認します。

問題が残る場合は:

  • エンコード(UTF-8かANSIか)の再確認
  • ファイル名の一致確認
  • TVアプリの字幕キャッシュ削除後に再テスト

大半のケースで、この新規生成SRTによりズレは完全になくせます。

なぜうまくいくのか

PC再生はタイミングのズレを補正しますが、テレビはしません。音声に合わせて作られた字幕と、テレビが扱いやすいブロック構成にすることで、仕様に起因する制限を回避できます。

映像制作の現場でも同様で、編集者は旧字幕タイムラインを信用せず、ロックされた音声から新しい字幕ファイルを作成します(参考)。

修正の先にある活用法

一度字幕を再構成すれば、それを基に別の出力も容易に作成できます。ミーティングメモへの変換や、多言語化して埋め込むなど、メディアライブラリの価値を高める使い方が可能です。

特に字幕が正確なタイムスタンプを持っていれば、翻訳もスムーズです。翻訳とフォーマットの統合機能を使えば、100以上の言語に自然なSRTとして変換できます。多言語対応の作品や幅広い視聴層を意識した映像制作にも大きなメリットがあります。


まとめ

「PCでは正常なのにTVではズレる字幕」の原因は、字幕形式そのものではなく、再生機器ごとの外部字幕の扱いや同期条件にあります。音声から字幕を再生成し、テレビ向けの短いブロックに整え、命名規則やエンコード設定を守ることで、デバイスを問わず安定した同期が実現します。

形式変換や手動調整に費やす時間よりも、新規生成した音声同期字幕を使えば互換性が高く、元の問題を受け継がない字幕が作れます。ホームシアター愛好家から映像制作現場まで、スケーラブルで信頼性のある解決策です。


よくある質問

1. PCでは字幕が正しく同期するのに、テレビではズレるのはなぜ? PCプレーヤーはタイミングのズレを補正しますが、テレビはリアルタイム処理の制約下で表示するため、ズレや分割の不一致が顕在化します。

2. SRTをASSやWebVTTに変換すれば改善しますか? 必ずしも改善しません。問題の多くはタイミングや分割構成によるもので、形式変更だけでは解決できません。

3. 文字起こしで字幕同期が直るのはどうして? 音声トラックに直接合わせた新しい字幕を作ることで、元の字幕が持つ破損やズレを回避でき、タイムスタンプが正確になります。

4. テレビ向けに字幕を分割する作業は手動で必要ですか? 手動は不要です。自動分割ツールを使えば、タイムスタンプを変えずにテレビ向けの短いブロックへ再構成できます。

5. この方法は多言語字幕にも使えますか? はい。タイムスタンプ付きの字幕があれば、正確な翻訳をSRT形式で作成でき、複数言語でも同期を保てます。国際的な作品や多様なコレクションに最適です。

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